「お前がさ、」

突然俺の襟首を掴んで更に俺の上に馬乗りになっている俺の幼馴染みは、ふたつの眼をギンギンに光らせて言った。

「例えば今から一時間後に死ぬかもしれない。それってありえない話だと思うか?」

なんだこいつ。お前今までそんな事言うような奴だったっけ?
ちょっと乱暴な部分はあったかもしれないけど、少なくともこっちが何もしてないのに
襟首掴んでマウントポジション取るような奴じゃなかった。筈だ。

「一時間後の俺にはすごくすごく生きていて欲しいけどよ、
 もし今すげぇデカイ災害が起きたり、前方不注意で車に轢かれたりしたら…まぁ、当然死ぬんじゃないか?」

だいぶやる気のない俺の答えにあいつは満足そうに笑って、
うん。そうだ。それが正しい。お前は合格。などと呟きながらアッサリと俺の上から退いた。
よくわからないが俺はこいつの頭の中で合格した側の人間らしい。



次の日俺と全く同じ質問をされて「ありえない」と答えたクラスメイトがあいつに半殺しの目にあった。
背筋が凍った。そして、それと同時に様々な疑問が頭の中をぐるぐる回る。

あいつは頭がおかしくなってしまったのだろうか。

だってこの前キャッチボールした時はあんな態度は欠片も見られなかったし、つい先日近所の奴等と遊んだ時だって何も…あれ、待てよ。
そうだあのあたりからだあいつがなんか難しそうな顔して一人でぶつぶつ言い始めたの。
そんでもって昨日の今日だ。
俺にはわからない何かがあいつの中で確実に起きたに違いない。

いや、この際あいつに何が起きたのかとかあいつがどんな過程を経ておかしくなってしまったのかとかはもうどうだっていい!

だからだからだから、どうか!神様!


(俺のまともな幼馴染みを返してくれ!)

 

過去捏造すいません。
兄貴は殺しの精神に目醒める前はやんちゃなガキ大将な感じの子だと思う。
兄貴の変化にいちばん戸惑ったのは幼馴染みだという妄想。
半殺しにあったクラスメイト君はきっと兄貴の嫌いな性格だったに違いない。